心所とは、仏教における「心の構成要素・機能・中身」のことです。お釈迦様は心所は52あると説かれています。
これは、倶舎論などのアビダルマ論書に基づく分類方法です。
52心所は以下の通りです。
遍行心所 (5)
触 (しょく):感覚
作意 (さくい):意図
受 (じゅ):受感
想 (そう):表象
識 (しき):認識
別境心所 (5)
眼識 (げんしき):視覚
耳識 (にしき):聴覚
鼻識 (びしき):嗅覚
舌識 (ぜつしき):味覚
身識 (しんしき):触覚
善心所 (11)
信 (しん):信仰
精進 (しょうじん):努力
慚 (ざん):慚愧
愧 (かい):羞恥
無貪 (むとん):無欲
無瞋 (むしん):無怒
無癡 (むち):無知
輕安 (きょうあん):軽快
不放逸 (ふほういつ):不放逸
行捨 (ぎょうしゃ):捨心
不害 (ふがい):不害
煩悩心所 (6)
貪 (とん):貪欲
瞋 (しん):怒り
癡 (ち):愚痴
慢 (まん):慢心
疑 (ぎ):疑い
不信 (ふしん):不信
随煩悩心所 (20)
忿 (ふん):憤怒
恨 (こん):恨み
覆 (ふく):覆い隠す
慳 (けん):吝嗇
嫉 (しつ):嫉妬
恼 (のう):悩乱
害 (がい):害意
愧 (かい):後悔
眠 (みん):睡眠
掉挙 (じょうきょ):掉挙
惛沈 (こんじん):惛沈
不信 (ふしん):不信
懈怠 (けたい):懈怠
放逸 (ほういつ):放逸
昏沈 (こんじん):昏沈
不覚 (ふかく):不覚
無慚 (むざん):無慚
無愧 (むかい):無愧
慢 (まん):慢心
僑慢 (きょうまん):僑慢
不定心所 (5)
得 (とく):得
非得 (ひどく):非得
失 (しつ):失
非失 (ひしつ):非失
念 (ねん):念
これらの心所は、互いに関連し合い、私たちの心の活動を複雑に構成しています。心所の働きを理解することで、自分自身の心の状態をより深く理解することができ、心の平穏や悟りの境地を目指すことができるようになります。
なお、唯識論では、心所は51個に分類されます。これは、遍行心所の「作意」を心王に含めるためです。
五位分類においては、「心所法」として表現されます。
心所の役割
心所は、心王(しんのう)と呼ばれる中心的な心の働きに付随して生じる、様々な心の働きを指します。心王は眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識の六識と、末那識・阿頼耶識の八識に分けられます。
心所は、これらの心王に様々な性質や働きを与えます。
心所の種類
心所の種類は、仏教の宗派や学派によって分類方法が異なりますが、代表的な分類方法として、以下の二つがあります。
倶舎論による五蘊分類:大地法・大善地法・大煩悩地法・大不善地法・小煩悩地法の五種類に分類されます。
唯識論による六位分類:遍行・別境・善・煩悩・随煩悩・不定の六種類に分類されます。
これらの分類方法に基づき、心所はさらに細かく分類されます。例えば、唯識論による六位分類では、遍行心所には触・作意・受・想・識の五つが含まれます。
心所の重要性
心所は、私たちの心の働きを理解する上で重要な役割を果たします。心所の働きを知ることで、私たちの思考や感情、行動のメカニズムを理解することができます。
また、心所の働きをコントロールすることで、心をより良い方向へ導くことも可能になります。
心所に関する資料
心所に関する資料は、仏教の経典や論書に多く含まれています。代表的な資料としては、以下のものがあります。
アビダルマ:仏教における心理学・論理学
倶舎論:説一切有部のアビダルマ論書
唯識論:唯識派のアビダルマ論書
これらの資料を読むことで、心所についてより深く理解することができます。
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